2006.7.23 Sun.
文の日、車男
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読んだら、押してみるの方向で…
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文月(ふみづき)の23(フミ)の日です。 昔懇意にしていた年上の女性が、名を「フミ子」と云いました。 今日が誕生日です。 Happy Birthday!!
命名の由来について揶揄するとムキになって否定しましたが、その否定に確かな論拠は無い様でした。
なんでもとある地方の造り酒屋のお嬢様らしいのですが、子供の命名に適当な親というものは存外多いものだと思います。
彼女がそうだったという訳ではありませんが(彼女の名誉のために)凝った命名だから愛情深いとかそういうことではないと思うのです。
最近の命名は眉をしかめるような奇天烈なものが流行している様ですが、 果たして僕が子を授かったとして、命名に凝るでしょうか…
多分凝ります。(笑)
すみません。
でも、命名と愛情を注ぐこととは別問題だと思いますよ。
それから、もうひとりの文の日生まれの大酒飲みさんも誕生日おめでとう。
さて、僕だけに懐かしい人の話はこのくらいで…
先日配給元のディズニーに買収されてしまったピクサースタジオのCGアニメーション映画「車男カーズ」を観てきました。
興行成績が振るわないのか、来週には公開が終わるようなので駆け込みました。
この夏シーズンの映画は割とそそる作品がひしめいているような気がします。(でも、実際そんなには観ないだろうな。)
最近、邦画が好調なのも影響しているかもしれません。
それで、作品の感想ですが…
ピクサースタジオには割と信頼を置いているのですが、今作はピクサー作品のワースト2です。
(ワースト1は「バグズ・ライフ」)
ストーリーにさしたる山場も無く、ハッピーエンドもTKOと云った感じで、「小作品」めいています。
最大の難点は、本作で擬人化された自動車に感情移入しがたいことです。
僕は、遺伝子に半端を持って生まれた「男の子」として、ごく一般的に自動車は好きな方ですし(やや控えめな表現)、世代的にはスーパーカーブーム体験者でもあります。
最近の実用本意のミニバン全盛を苦々しく思っている旧き世代のクルマ好きです。
その愛すべき対称である車にある種のキャラクター性を感じてはいるのですが、
ピクサーが本作で車をキャラクター化したメソッドに馴染めなかった様なのです。
なんと云うか、居心地の悪さを感じるのです。
ゲシュタルト知覚(もっと適切な用語があった気がするのだが失念)という心理学用語では、人間が壁の染みや、樹木の木肌などに含まれる偶然の紋様に人の顔を見いだしたりすることがあると云います。
偶然の三つ点を「目」と「口」と捉えることで、紋様に「顔」と云う意味付けをするのです。
(鼻や耳は重要ではない点も興味深いのですが、それについてはいずれ機会があれば…)
そこで皆さんも想像に難くないと思いますが、自動車の形態で顔を知覚しようとすればほぼ全ての人がヘッドライトを目に、フロントグリルを口として知覚すると思います。
しかし、おそらくは演出上の理由からピクサーは車のキャラクター化の際にヘッドライトを無視してフロントウィンドウに目を「新たに」作り出しました。
確かに目は演技に於いて大変重要なのは云うまでもありません。
手足を持たない自動車に演技をさせようとすれば目の重要度は更に高くなります。
クローズアップばかりでなく、ロング(遠景)でもキャラクターの表情を捉えるには面積の大きいフロントウィンドウはうってつけに思えます。
しかし、目が4つあってはどうでしょう?
果たしてそれを人間の顔と捉えることが出来るでしょうか?
公式サイトの画像を見てください。
確かに、キャラクターとして完成されている様に見えます。
では試しに手で画面のキャラクターのフロントウィンドウを隠してみてください。
表情の変わった別のキャラクターが現れると思います。
しかも、より自動車らしいキャラクターが…
さらに、指を使って自動車のヘッドライトだけを隠してみてください。
これまた見事に「らしい」キャラクターが現れます。
この二面性が居心地の悪さの正体だと思います。
普段、自動車のフロントフェイス(顔!)を読み取っている時の、ヘッドライトを目と捉えている「記号(コード)」が混乱するのです。
それが僕には最後まで喉に刺さった魚の骨の様に作用してしまい、キャラクターに感情移入できなかったのです。
ただ、ピクサースタジオのCGが作り出す情景はとても美しく、「ファインディング・ニモ」で実写映画では単調になりがちな海中の表現を見事に物語の舞台として描いた様に、車にまつわる情景をファンタジックに美しく描いてみせてくれています。
ただこれも、アメリカの車社会の情景ですので、僕自身がほんの少しの経験ですが、アメリカ西部の道路を運転した記憶にうまくマッチして上手に描けているなあと感じただけかもしれません。
正直、自動車に関心の薄い方にはつまらない映画になってしまっている様に思います。
男の子とお父さん、父子で観るのには良いかもしれません。
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